作家・コラムニスト
数年前、乳がんを発症。温存手術により、無事摘出。現在、経過を観察(?)している。
台湾人と日本人のハーフとして台湾に生まれ、幼少~思春期を米ロスで暮らす。
2005年ケータイ書籍「恋愛博打」で作家デビュー。
歯に衣着せぬ毒舌がうけ、その後も「起動戦士 濡れ男」「女王さまがロバに鞭」などのケータイ書籍や雑誌コラム、紙書籍などを中心に活躍。
並み居る有名作家人を押さえ、各ケータイ書籍サイトの売り上げランキングに続々とベストテン入りし話題となる。
著書に「モテれ。」「魔性れ。」
「濡れ男-nureo-」(モバイルメディアリサーチ)「彼のセリフでわかる男ゴコロ」(大和出版)などがある。
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イラスト・春乃れぃ
001話 | 002話 | 003話 | 004話 | 005話 | 006話(最終回)
乳がんは“自分で発見できる”唯一の癌。
という話は、テレビや雑誌などからの情報で知っていた。<自分の手で、胸に「しこり」を探せばいい>のだと。しこりがあれば、乳がんである可能性は高く、「しこり」が無ければ、乳がんでは無いのだと――と、当時のあたしは思っていた。
実に簡単なこと。
分かってはいるけれど、あたしの両手は「しこり」を探すことを拒んでいた。本当は1日でも早く「しこり」を見つけて、1日でも早く治療をしなきゃいけない。だけど、あたしは……存在しているかもしれない「しこり」を、探したくなかった。ううん、見つけるのが怖かった。かっこ悪いけど、心底――ビビってた。
パソコンを立ち上げ、googleの検索画面に『乳がん しこり 見つけ方』と、入力はするものの、検索ボタンをクリックすることが出来ない。怖くて、怖くて、本当に怖くて。
何ひとつ調べないまま、「しこり」を探すこともしないまま、1日が過ぎて、10日が過ぎて、1ヶ月が過ぎた。そうしている間にも、あたしの「しこり」は大きくなっているかもしれないのに。
この頃のあたしの、乳がんに対する知識は無いに等しかった。
「乳がんになった」ら、「おっぱいはすべて取らなければいけない」と思っていた。「しこり」があると、それはすべて「乳がん」だと思っていた。おっぱいの病気は、乳がんだけじゃないのに。
結局、何もしないまま数ヶ月が過ぎて、気がつくと確かにあの日感じたはずの<おっぱいの違和感>は消えていた。なーんだ、気のせいだったんだ。作家になったばかりで右も左も分からない状態だったあたしは、ストレスからホルモンのバランスを崩してしまっただけなんだ。それが違和感となっておっぱいに現れただけなんだ。そうに違いない。たったそれだけのことだったんだ。ビビって損した。
心配の種がなくなると、あたしは強い。心に余裕が出たあたしは、これまでに何度も挑戦しては止めていた「乳がん」について、インターネットで調べることにした。
知らない言葉がたくさん出てきた。
「マンモグラフィ?」「エコー検査?」「癌のステージ?」
「乳腺症?」「乳腺炎?」「乳管内乳頭腫?」「なんのこっちゃ?」
初めて見る単語だらけで、あたしのカスッカスの頭の中は「ハテナ?」でいっぱいになった。
分かったことは、ただ1つ。<乳がん検診は受けた方がイイ>ということのみ。
「検診かあ。受けたいけど、でも費用はどれくらいなんやろ」
「それに、保険証が無いと検診費用も高いんやろうなあ……」
この頃のあたしは、ある事情で保険証を持っていなかった。というか、持てなかった。
だから検診は受けたいけれど、実費となると厳しいかも――という、今思うと本当に小さな、だけど当時のあたしにとっては高い高い壁にぶつかってしまったのである。











