作家・コラムニスト
数年前、乳がんを発症。温存手術により、無事摘出。現在、経過を観察(?)している。
台湾人と日本人のハーフとして台湾に生まれ、幼少~思春期を米ロスで暮らす。
2005年ケータイ書籍「恋愛博打」で作家デビュー。
歯に衣着せぬ毒舌がうけ、その後も「起動戦士 濡れ男」「女王さまがロバに鞭」などのケータイ書籍や雑誌コラム、紙書籍などを中心に活躍。
並み居る有名作家人を押さえ、各ケータイ書籍サイトの売り上げランキングに続々とベストテン入りし話題となる。
著書に「モテれ。」「魔性れ。」
「濡れ男-nureo-」(モバイルメディアリサーチ)「彼のセリフでわかる男ゴコロ」(大和出版)などがある。
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イラスト・春乃れぃ
001話 | 002話 | 003話 | 004話 | 005話 | 006話(最終回)
クッションの下でペシャンコになった母のブラジャーを見た時の衝撃は、今も忘れない。
「どんだけ小さいんだよ……」
少女の身体から大人の女の身体へ変わり始める十代半ばの頃、ボディラインやお尻周りは丸みを帯びてきているというのに、あたしのオッパイは一向に<巨乳の兆し>を見せないままだった。それでもきっと大きくなるに違いないと信じていたある日、あたしは母の小さな、とても小さなブラジャーをクッションの下から見つけたのである。
“オッパイの大きさは遺伝”なんてことを何かの雑誌で読んだことがあった。またその雑誌には“だけど、揉めば(揉まれれば)揉むほど(揉まれるほど)大きくなる”とも書いてあったから、あたしは時間の許す限り自分のオッパイを揉んだ。揉みしだいた。外出時にはブラジャーの中に丸めたティッシュやハンカチをパンパンに詰めたりして、『オッパイの大きな女の子』を演出していた。
そんな偽巨乳作りに忙しくしていたあたしの胸が大きくなったのは17、8歳の頃。スカスカだったブラジャーがキツくなり、カップ数がどんどんと上がっていった。B、C、D――数ヶ月単位でオッパイが大きくなっていく。E、F――ここでようやくオッパイの成長が止まった。
欲しくて欲しくてたまらなかった巨乳を手にしたあたしは、まるで宝物にでも触れるように、我が乳を大切に丁寧に扱った。日々のケアやマッサージは当然のこと、「わしわし揉むな! 型が崩れる!」と、その時々の相手の男に怒鳴ったことも2度や3度ではない。
垂れないように型が崩れないように、張りやみずみずしさを失わないように、毎日たっぷりの時間を割いて、バストケアを行っていた。そんなあたしだったから、オッパイの『異変』に早い段階で気づいたのもかもしれない。
「なんか変だ……」
ベッドにうつ伏せで寝ていると、左胸になんとも言えない違和感を感じた。シコリを探すも見つけられない。鏡に映しても昨日と同じオッパイにしか見えない。痛みとは違うし、どこがどう変なのかを言葉にするのは難しかった。だけど、なんか……何かが確かに変だった。
「ホルモンのバランスが崩れてるのかも」「またオッパイが大きくなるのかも」――『乳がんかもしれない』という思いを打ち消すために、思いつくだけの<違和感の原因>を無理やり引き出しては、納得したようなふりをあたしは続けていた。











